ファクタリング基礎知識

融資やローンとのリスク比較で見るファクタリングの特徴

融資やローンとのリスク比較で見るファクタリングの特徴の記事のアイキャッチ画像

ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる資金調達手段として注目されていますが、「手数料が高い」「資金繰りが悪化する」といった懸念の声も少なくありません。

本記事では、融資やビジネスローンとのリスク比較を軸に、ファクタリングの仕組みと特徴を事実と意見を分けながら解説します。適切な判断基準を持つことで、自社の状況に合った資金調達方法を選択できるようになります。

ファクタリングの仕組みと基本的なリスク要因

ファクタリングは、売掛債権を売却して資金を得る方法ですが、融資とは異なる特有のリスクが存在します。仕組みを正しく理解することが、安全な活用の第一歩となります。

ファクタリングの基本的な仕組み

ファクタリングとは、事業者が保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、支払期日より前に現金化するサービスです。事業者は、売掛金の額面から手数料を差し引いた金額を受け取ります。

売掛金の回収は、ファクタリング会社が担うのが一般的です。契約が償還請求権のない(ノンリコース)形態の場合、売掛先が倒産しても利用者側に返済義務は発生しないとされています。この点が、融資やビジネスローンと大きく異なる特徴です。

ただし、実務では償還請求権あり契約も存在するため、契約書の条文を必ず確認する必要があります。

主なリスク要因

ファクタリングには、いくつかのリスク要因が指摘されています。

  • 手数料が融資の金利と比較して高い傾向がある(2社間:10~20%程度、3社間:1~9%程度が相場)
  • 継続利用により手数料負担が積み重なる可能性がある
  • 取引先との関係に影響する場合がある(3社間の場合、債権譲渡通知が必要)
  • 金融庁や国民生活センターが注意喚起する悪質業者による被害の報告がある

これらのリスクは、手数料構造や契約内容を十分に理解せずに利用した場合に顕在化しやすいとされています。ファクタリング業には貸金業のような免許制度が全面適用されていないため、業者選びの慎重さが特に重要です。

融資・ビジネスローンとの主な違いとリスク比較

ファクタリングを適切に評価するためには、他の資金調達手段との違いを明確に理解する必要があります。それぞれの特徴を比較することで、自社に適した選択肢が見えてきます。

借入と債権譲渡の根本的な違い

銀行融資やビジネスローンは、元本と利息を返済する「借入」です。貸借対照表上は負債として計上され、返済が滞れば信用情報にマイナスの影響が生じる可能性があります。

一方、ファクタリングは債権譲渡であり、会計上は売掛債権の売却として処理されるのが一般的です。適切な債権売買契約であれば、原則として信用情報に「借入」として登録されにくいとされています。

ただし、金融機関が決算書や資金繰りの状況を評価する際に、ファクタリング利用状況を全く考慮しないわけではない点に留意が必要です。

コスト構造の比較

ビジネスローンや銀行融資は、年利による金利負担が発生します。一般的な相場は、民間金融機関で年利1〜15%程度、公的機関で年利1〜4%程度です。

一方、ファクタリングは売掛金額に対する手数料が発生する仕組みで、2社間ファクタリングで10〜20%程度、3社間ファクタリングで1〜9%程度が相場とされています。

特に短期の資金調達では、ファクタリングの手数料が年率換算で相対的に高コストになる場合があります。返済義務や信用情報への影響を抑えたい場合はファクタリング、コストを抑えて長期的に資金を確保したい場合は融資やローンという使い分けが重要だと考えられます。

2社間・3社間ファクタリングの違いとリスク

ファクタリングには、契約形態によって2社間と3社間の2つの方式があります。それぞれの特徴とリスクを理解することで、自社の状況に適した選択が可能になります。

2社間ファクタリングの特徴

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2者で契約を行い、売掛先には通知しない形態です。売掛金の回収は利用者が行い、入金された資金をファクタリング会社へ送金する仕組みが一般的とされています。

売掛先への通知を行わないため、二重譲渡や未回収などのリスクが高く、その負担が手数料率に反映されやすいとされています。手数料相場は10〜20%程度で、これを大きく超える業者は悪質な可能性があるため注意が必要です。

3社間ファクタリングの特徴

3社間ファクタリングは、利用者、ファクタリング会社、売掛先の3者間で契約を結ぶ形態です。ファクタリング会社が債権譲渡通知や承諾取得を行い、売掛先が直接ファクタリング会社に支払います。

売掛先の支払いを直接受け取れるため、売掛金未回収リスクが低く、一般に手数料率は1〜9%程度と低く設定されると説明されています。ただし、売掛先に債権譲渡が通知されるため、資金繰りが厳しいと判断され、取引条件の見直しにつながるリスクが指摘されています。

「やばい」と言われる理由と誤解の背景

ファクタリングに対する否定的なイメージの多くは、仕組みそのものではなく、一部の悪質な事例や誤った利用方法に起因しています。事実を正確に理解することで、過度な不安を解消できます。

否定的イメージの主な要因

「ファクタリングはやばい」という表現で注意喚起される主な理由として、以下が挙げられています。

  • 相場を大きく超える高額な手数料を要求する事例
  • 給与ファクタリングなど、実質的には貸付と判断される違法スキームの存在
  • 違法な取り立てや架空ファクタリングなどの不正行為
  • 審査なしや即日入金をうたう業者によるトラブル

金融庁や国民生活センターは、給与ファクタリングをはじめとする実質貸付型スキームを「ヤミ金融」として明確に注意喚起しています。

免許や登録が不要な業態という点を背景に、ヤミ金融的な業者が法外な手数料を要求するケースが報告されています。これらは、適法なファクタリングというよりも違法な貸付に近いと指摘されることがあります。

資金繰り悪化のメカニズム

ファクタリングを短期的な資金繰り対策として繰り返し利用し、売掛金の一定割合が常に手数料として差し引かれる状態が続くと、運転資金を圧迫する可能性があるとされています。

ファクタリングが「やばい」と言われる背景には、ルールを逸脱した業者や、手数料構造を理解しないまま安易に繰り返し利用した事例が大きく影響していると考えられます。

安全性を高めるための確認ポイント

ファクタリングを安全に利用するためには、契約前の確認作業が不可欠です。手数料の妥当性、契約形態、業者の実績や運営会社、審査プロセスの透明性などを確認することが推奨されています。

手数料と契約内容の確認

複数社から見積もりを取り、手数料水準が相場(2社間:10~20%、3社間:1~9%)と比較して妥当かを確認し、なぜその水準になるのか説明を求めることが重要です。

契約が適正な売買契約なのか、実質的に貸付に近いスキームなのか、契約書の条文や償還条項を専門家と確認することが望ましいとされています。

特に償還請求権の有無は、売掛金が回収できなかった場合の責任の所在を左右する重要な項目です。契約書に「償還請求権あり」と記載されている場合、売掛先が倒産したときに利用者が返済義務を負う可能性があるため、契約前に必ず確認すべきだと考えられます。

事業者の信頼性の確認

会社の所在地、運営企業、過去の取引先、相談窓口などが公開されているかを確認することが、悪徳業者を避けるうえで有効と考えられます。「審査なし」「誰でも通る」といった過度な宣伝文句を掲げるサービスには、金融庁の注意喚起でも指摘されているように警戒が必要です。

売掛先や取引内容をしっかり確認し、契約内容やリスクを丁寧に説明する事業者ほど、長期的な取引の安全性が高いと見られます。質問に対して明確に回答し、書面で契約条件を提示する業者を選ぶことが推奨されます。

ファクタリングが有効な場面と使い分けの考え方

ファクタリングが特に適している状況として、売掛金はあるが追加融資が難しい、支払いサイトが長く一時的に運転資金が不足している、赤字決算などで融資審査に通りにくいといったケースが挙げられています。

ファクタリングが向きやすい場面

  • 支払いサイトの長い売掛金を持ち、短期的な資金ショートを防ぎたいとき
  • 既存の融資枠をこれ以上増やしたくないとき
  • プロジェクト完了後の売掛金を前倒しで回収し、外注費や仕入代金の支払いに充てたいとき

これらの状況では、ファクタリングが効果的な選択肢になり得ると考えられます。

融資やビジネスローンが向きやすい場面

  • 設備投資や新規事業など、中長期で回収する資金ニーズがあるとき
  • 売掛金の額に依存せず、まとまった運転資金を確保したいとき
  • 比較的低い金利で長期返済したいとき

これらの場合は、融資やビジネスローンの方が適しています。自社の資金繰りや信用状況、取引先との関係を踏まえたうえで、ファクタリング、融資、ビジネスローンを組み合わせることが現実的な選択肢と考えられます。

専門家への相談も選択肢に

ファクタリングの利用を検討する際には、税理士や公認会計士、中小企業診断士などの専門家に相談することも有効です。

特に、継続的な利用を予定している場合や、高額な売掛金を対象とする場合には、財務面への影響や会計処理について専門家の意見を聞くことで、リスクを軽減できる可能性があります。

また、業界団体や商工会議所などが提供する相談窓口を活用することで、信頼できるファクタリング会社の情報を得られる場合もあります。複数の情報源から情報を収集し、比較検討することが安全な利用につながると考えられます。

まとめ

ファクタリングは、適切なノンリコース契約であれば原則として返済義務のない資金調達方法として、資金繰りに悩む事業者にとって有効な選択肢となり得ます。しかし、手数料負担や業者選びのリスクを正しく理解せずに利用すると、かえって経営を圧迫する恐れもあります。

融資やビジネスローンとのリスク比較を行い、契約形態の違いを把握し、金融庁や国民生活センターが注意喚起する悪質業者の特徴や手数料相場を確認するポイントを押さえることで、ファクタリングを安全かつ効果的に活用できます。

ABOUT ME
奥平宏成
経営支援会社で資金繰り相談に関わった経験をもとに、経営改善や資金調達に関する記事を執筆。制度の解説や比較記事を得意とし、専門的な内容を“実務で使える知識”として整理するスタイルに定評がある。読者の疑問を想定した丁寧な解説を追求している。