借入・融資

融資が通らない理由ベスト10|5〜10名規模の中小企業が借入審査で落ちる原因と対策

中小企業にとって、資金繰りは経営の生命線です。とくに5〜10名規模の事業者では、売上の変動や取引先の入金遅延がそのままキャッシュフローに直結します。そのため運転資金や設備資金の確保として融資(借入)を検討する場面は少なくありません。

しかし、「売上は伸びているのに融資が通らない」「決算は黒字なのに借入を断られた」という声も多く聞かれます。実際、金融庁が公表している中小企業向け融資の方針では、金融機関は財務状況や事業の将来性を総合的に評価するとされています(金融庁『金融仲介機能のベンチマーク』等)。つまり、単純な売上規模だけでなく、財務構造や資金使途の妥当性、返済可能性が重視されているのです。

5〜10名規模の企業は、事業が軌道に乗り始めた段階である一方、財務基盤がまだ脆弱であるケースも少なくありません。そのため、わずかな弱点が審査でマイナス評価につながることがあります。融資が通らない理由を正しく理解し、改善できるポイントを押さえることが、借入成功への近道といえるでしょう。

本記事では「融資 通らない 理由」をテーマに、5〜10名規模の企業が陥りやすい典型的なパターンを整理し、その背景と対策を解説します。制度や統計は公的資料に基づき、事実と意見を区別しながら解説しますので、これから借入を検討している経営者の方はぜひ参考にしてください。


目次
  1. 財務内容が不安定と判断されるケース
  2. 事業計画の説得力が不足している
  3. 税金や社会保険料の滞納がある
  4. 借入過多と返済負担の増大
  5. 業績の急激な悪化や赤字決算
  6. 代表者個人の信用情報に問題がある
  7. 創業間もないため実績が不足している
  8. 業種特性や市場環境のリスク
  9. 書類不備やコミュニケーション不足
  10. 経営管理体制が未整備
  11. 融資が通らない理由を総合的に捉える
  12. まとめ

財務内容が不安定と判断されるケース

売上はあるのに利益が出ていない構造

5〜10名規模の企業でよく見られるのが、売上は増加しているものの、利益がほとんど残っていない状態です。人件費や外注費の増加、固定費の上昇により、営業利益が圧迫されているケースは少なくありません。

金融機関は、返済原資となる「キャッシュフロー」を重視します。中小企業庁が公表する資料でも、返済能力の判断には利益水準やキャッシュフローが重要であると示されています。黒字であっても利益率が極端に低い場合、将来の返済余力に不安があると判断される可能性があります。

売上拡大と利益確保のバランスが取れていないと、成長途上であっても融資審査では慎重に見られる傾向があると考えられます。

債務超過や自己資本比率の低さ

自己資本比率は、企業の財務安定性を示す重要指標です。一般に自己資本比率が低い企業は、外部資金への依存度が高いと評価されます。

中小企業庁の統計では、小規模事業者ほど自己資本比率が低い傾向があるとされています。5〜10名規模の企業でも、創業間もない場合や急拡大期には自己資本が薄くなりがちです。

債務超過の状態にある場合、原則として新規融資は難しくなります。金融機関は貸倒リスクを避ける必要があるため、資本の健全性は厳しくチェックされます。

財務改善に向けた実践ポイント

利益率の改善、不要な固定費の削減、役員借入金の整理などは即効性のある対策です。また、増資や内部留保の積み増しも自己資本強化に有効です。

決算前に税理士と相談し、財務体質の見せ方を整理することも重要です。融資は決算書で評価される以上、数字の整備は欠かせません。


事業計画の説得力が不足している

数字の裏付けがない計画書

融資審査では、将来の収益見通しを示す事業計画書が重視されます。しかし、売上予測に具体的な根拠が示されていないケースは多く見受けられます。

金融庁は、金融機関に対し「事業性評価」に基づく融資を促しています。これは担保や保証だけでなく、事業の将来性を評価する考え方です。裏付けのない楽観的な数値では、評価は得られにくいと考えられます。

資金使途が曖昧なまま申請している

「運転資金一式」といった曖昧な説明では、資金の必要性が伝わりません。設備投資であれば見積書、運転資金であれば資金繰り表など、具体的資料が求められます。

資金使途の明確化は、融資の基本です。使い道が明確であるほど、返済計画も合理的に説明できます。

計画書を磨き上げるための視点

売上予測には受注見込みや市場データを添付し、費用計画には過去実績との比較を盛り込みます。第三者が読んでも理解できる構成にすることが重要です。

専門家の助言を受けることで、説得力は大きく向上します。


税金や社会保険料の滞納がある

滞納情報は信用力に直結する

税金や社会保険料の滞納は、信用情報として重く見られます。国税庁や日本年金機構の発行する納税証明書の提出を求められることもあります。

公的義務を果たしていないと判断されれば、返済能力以前に信用性の問題として扱われる可能性があります。

一時的な遅れでも影響はあるのか

短期間の遅れでも記録が残る場合があります。金融機関は総合判断を行うため、継続的な滞納は特に不利です。

信用回復のためにできること

まずは滞納の解消が最優先です。分納計画を立てている場合は、その履行状況を説明できるよう準備します。

誠実な対応を継続することが、信用回復への第一歩です。


借入過多と返済負担の増大

既存借入の返済比率が高い

複数の金融機関から借入がある場合、年間返済額が利益を圧迫していることがあります。返済負担率が高いと、新規融資は慎重になります。

リスケジュール中の影響

返済条件変更中の場合、新規借入は難易度が上がるとされています。金融機関はリスクを慎重に判断します。

資金繰り表の整備が重要

将来のキャッシュフローを明示することで、過度な借入でないことを説明できます。見える化が信頼につながります。

業績の急激な悪化や赤字決算

単年度赤字でも審査は厳しくなる

5〜10名規模の企業では、特定取引先への依存度が高いことも多く、売上減少が直撃しやすい傾向があります。単年度赤字であっても、その理由が明確でなければ融資審査では慎重に見られます。

中小企業庁の企業実態調査でも、小規模事業者ほど景気変動の影響を受けやすいとされています。金融機関は一時的な赤字か、構造的な問題かを見極めようとします。説明不足のままでは「回復可能性が低い」と評価される可能性があります。

赤字の背景説明が不十分

設備投資や一時的な先行投資による赤字であれば、将来的な回収見込みを示す必要があります。単に「来期は黒字予定」と述べるだけでは説得力に欠けます。

具体的な受注見込み、契約書、コスト削減計画など、裏付け資料の提示が重要です。

改善ストーリーを描けるかが鍵

赤字の事実そのものよりも、改善の道筋を示せるかが評価ポイントになります。損益分岐点の把握や固定費削減策の提示は有効です。

数字に基づく再建計画があれば、評価は変わる可能性があります。


代表者個人の信用情報に問題がある

経営者保証と個人信用

中小企業融資では、代表者の連帯保証が求められることが一般的です。金融庁は「経営者保証に関するガイドライン」の活用を促していますが、現時点でも多くのケースで個人信用は重視されています。

個人の延滞履歴や債務整理歴がある場合、審査に影響する可能性があります。

事業と個人資金の混同

会社資金と個人資金が明確に分離されていない場合、管理体制に不安があると見なされることがあります。

公私混同はガバナンス上の問題と判断されることがあるため注意が必要です。

信用改善への取り組み

既存の個人債務を整理し、支払遅延を解消することが基本です。時間をかけて信用を回復する姿勢が求められます。


創業間もないため実績が不足している

創業期特有の審査難易度

創業1〜2年以内の企業は実績が乏しく、将来性評価が中心となります。日本政策金融公庫の公表資料でも、創業融資では事業計画の妥当性が重視されるとされています。

実績不足は不利に働きますが、対策次第で補えます。

自己資金割合の重要性

創業融資では自己資金の割合が重視される傾向があります。一定の自己資金があることで、経営者の本気度が示されます。

信頼を得るための準備

業界経験や受注見込み、具体的な販路計画を示すことで信頼性は高まります。準備の差が結果に直結します。


業種特性や市場環境のリスク

景気変動の影響を受けやすい業種

建設、飲食、IT受託など、景気や案件依存度の高い業種はリスク評価が厳しくなることがあります。これは一般的な審査傾向とされています。

競争環境の激化

市場参入障壁が低い業種では、将来の収益安定性に疑問が持たれることがあります。

リスク説明の工夫

差別化戦略や長期契約の有無を示すことで、評価は改善する可能性があります。


書類不備やコミュニケーション不足

必要書類の不足

決算書、試算表、資金繰り表などが揃っていない場合、審査は進みません。提出遅延は印象を悪化させます。

説明力の不足

自社の強みを簡潔に説明できない場合、事業性評価で不利になります。

面談準備の重要性

想定質問を整理し、数字で回答できるよう準備することが成功率を高めます。


経営管理体制が未整備

管理会計が整っていない

月次試算表がない、在庫管理が曖昧といった状況は不安材料になります。

内部統制の未整備

少人数企業では属人化が進みやすく、リスクと見なされることがあります。

改善への取り組み

クラウド会計導入や業務フロー整備が信頼向上につながります。


融資が通らない理由を総合的に捉える

単一要因ではなく複合的要因

融資が通らない理由は一つではありません。財務、信用、計画、業界環境など複数の要素が絡みます。

改善可能な部分は多い

多くの場合、事前準備と改善努力で評価は変わります。

次の一手を考える

必要に応じて専門家へ相談し、再挑戦の準備を整えることが重要です。


まとめ

融資が通らない理由は、単純な売上不足ではありません。5〜10名規模の企業では、財務基盤の弱さ、利益率の低さ、事業計画の不十分さ、税金滞納、借入過多などが複合的に影響します。

金融庁や中小企業庁が示す方針からも分かる通り、金融機関は返済可能性と事業の将来性を総合的に判断しています。つまり、数字の整備と説明力の強化が不可欠です。

融資に落ちた場合でも、原因を分析し改善すれば再挑戦は可能です。自己資本の強化、利益率改善、計画書の精緻化、信用情報の整理など、今から取り組めることは多くあります。

借入はゴールではなく、事業成長の手段です。審査基準を正しく理解し、準備を徹底することで、資金調達の成功確率は高められると考えられます。

ABOUT ME
奥平宏成
経営支援会社で資金繰り相談に関わった経験をもとに、経営改善や資金調達に関する記事を執筆。制度の解説や比較記事を得意とし、専門的な内容を“実務で使える知識”として整理するスタイルに定評がある。読者の疑問を想定した丁寧な解説を追求している。