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会社のお金がないとき最初の7日間でやること|資金繰りの支払い優先順位とNG行動

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「会社にお金がない」という状況は、多くの中小企業が直面する資金繰りの危機です。売上はあるのに現金が不足し、給与・仕入・税金・借入返済が重なって支払いが回らなくなることは珍しくありません。

本記事では、資金繰りが厳しいと気づいた最初の7日間で何をすべきかを、支払いの優先順位と絶対に避けるべきNG行動に分けて解説します。

会社のお金がないときの基本認識

資金繰りが苦しいとき、まず確認すべきなのは「資金不足の原因」と「いつ、いくら不足するのか」というタイミングです。感情的な判断ではなく、現状を数字で把握することから始める必要があります。

資金繰り悪化の主な原因

資金繰りが悪化する原因には、売上不振による収入減少のほか、売掛金の回収サイトが長期化している、在庫が過剰に積み上がっている、固定費や変動費が売上に対して高すぎるといった構造的な問題があります。

売上不振・粗利率低下・在庫過多・売掛金回収遅延・過大な経費などが、現金不足の主な要因として挙げられます。また、季節変動や大口取引先の入金遅延など、一時的な要因によって資金繰りが圧迫されるケースも見られます。

自社の資金繰りが悪化している原因を冷静に分析することで、その後の対策が明確になります。

黒字倒産のリスク

多くの中小企業では、「売掛金は多いが現金が少ない」「利益は出ているが支払いが回らない」という黒字倒産リスクが指摘されています。これは、売上は計上されているものの、売掛金として回収されるまでに時間がかかる一方で、仕入れや経費の支払いは先に発生するためです。

特に、売上が急激に伸びている成長期の企業や、大口の受注案件を抱えている企業では、運転資金の不足によって黒字倒産のリスクが高まります。利益が出ているから安心というわけではなく、常に手元の現金残高と今後の入出金予定を把握しておくことが重要です。

最初の7日間でやること全体像

資金繰りが厳しいときにやるべきことは、タイミング別に整理することで効率的に進められます。緊急期にはまず「現状把握」と「優先順位付け」、その後に「資金調達」の順で対応する重要性が示されています。

1〜2日目:手元資金と入出金予定の見える化

最初の1〜2日間で取り組むべきは、現在の手元資金と今後の入出金予定を正確に把握することです。通帳残高、現金残高、定期預金や積立金など、すぐに使える資金をすべて洗い出します。

次に、今後1〜2週間の支払い予定を、支払日・支払先・金額・内容とともにリスト化します。給与、仕入代金、家賃、光熱費、税金、社会保険料、借入返済など、漏れなく書き出すことが重要です。同時に、売掛金の入金予定日と金額も確認します。

これらの情報を一覧表にまとめることで、いつ、いくら不足するのかが明確になります。

3〜4日目:支払いの優先順位を決める

手元資金と入出金予定が整理できたら、次に支払いの優先順位を決めます。すべての支払いを期日通りに行うことが難しい場合、どれを優先し、どれを延ばすべきかを判断する必要があります。

一般的には、従業員の給与、主要取引先への支払い、事業継続に不可欠な経費が最優先とされています。一方で、銀行借入の元金返済や、一部の税金・社会保険料は、所轄機関に相談することで支払い猶予や分納が認められる可能性があります。

どの支払いなら交渉の余地があるのか、どの支払いは絶対に遅らせてはいけないのかを明確にしておくことが重要です。

5〜7日目:関係先への相談と資金調達の検討

支払いの優先順位が整理できたら、実際に関係先への相談や交渉を始めます。取引先に対しては、支払い条件の見直しや入金の前倒しを依頼します。金融機関に対しては、返済条件の変更や追加融資の相談を行います。

税務署や年金事務所に対しては、納税の猶予や分納の申請手続きを検討します。これらの相談は、できるだけ早い段階で、誠実に行うことが重要です。無断で支払いを遅延させると、信用を失い、今後の取引や融資に悪影響を及ぼす可能性があります。

並行して、短期的に資金を確保する手段も検討します。

支払いの優先順位はこう考える

支払いには、優先順位があります。手形の支払い、従業員の給与、原価、事業継続に必要な諸経費、税金・社会保険料、銀行借入の元金返済という順で整理されるのが一般的です。

最優先すべき支払い

最優先すべき支払いは、手形の決済と従業員の給与です。手形が不渡りになると、銀行取引停止処分を受け、事実上の倒産状態となります。手形を振り出している場合は、何よりも優先して決済資金を確保する必要があります。

次に重要なのが従業員の給与です。給与が支払われなければ、従業員の生活が成り立たず、優秀な人材が流出し、事業運営そのものが困難になります。また、労働基準法上も給与の支払いは使用者の義務であり、遅延は法的なリスクも伴います。

さらに、原材料費や外注費といった原価に関わる支払いも、事業を継続する上で欠かせません。

税金・社会保険料と銀行返済の扱い

銀行の元本返済は最優先ではなく、資金繰りが厳しいときは後回しでも問題ないとされています。これは、従業員の給与や主要取引先への支払いが止まると、事業継続自体が困難になり、かえって金融機関との関係も悪化するリスクがあるためです。

税金や社会保険料については、所轄庁に分納や猶予の相談を行う制度が存在します。無断で滞納すると、延滞税や延滞金が発生し、最悪の場合は財産の差押えを受ける可能性があるため、必ず事前に相談することが重要です。

絶対に避けたいNG行動

資金繰りが苦しいときに「やってはいけない行動」があります。これらは、短期的には「一時しのぎ」になるように見えても、法的リスクや信用失墜を通じて中長期的には倒産リスクを高めると指摘されています。

高金利業者や違法な資金調達

資金繰りに窮すると、正規の金融機関から融資を受けられず、高金利の貸金業者や、さらには違法な業者に手を出してしまうケースがあります。しかし、これは絶対に避けるべき行動です。

高金利での借入は、その後の返済負担をさらに重くし、資金繰りをより悪化させます。また、違法な業者からの借入は、法外な利息や違法な取り立てによって、経営者やその家族の生活までも脅かす結果となります。

どれほど切迫した状況でも、合法的で透明性のある資金調達手段を選ぶことが重要です。

税金の無断滞納と粉飾決算

税金や社会保険料を無断で滞納することも、避けるべきNG行動の一つです。前述の通り、税金や社会保険料には猶予や分納の制度がありますが、これらは必ず事前に相談し、所定の手続きを経る必要があります。

また、金融機関からの融資を受けるために、売上を水増ししたり、費用を隠したりする粉飾決算を行うケースがあります。しかし、粉飾決算は会社法や金融商品取引法に違反する行為であり、発覚すれば経営者の信用は失墜し、刑事罰を受ける可能性もあります。

まずは、公的支援制度や正規の金融機関・専門家に相談し、合法的な範囲での資金繰り改善策を検討することが重要です。

短期でキャッシュを作る具体策と資金調達

資金繰りが苦しいときの対処法として、支出削減と資産の現金化が有効とされています。あわせて、ファクタリングなどの短期資金調達手段も、適切なタイミングで検討することが重要です。

不要資産の売却と経費削減

手元の現金を増やす最も直接的な方法は、不要な資産を売却することです。使っていない機械設備、車両、不動産、有価証券などがあれば、売却を検討します。

在庫の圧縮も重要な施策であり、不良在庫や滞留在庫は、値引き販売や廃棄処分によって在庫を減らし、その分の現金を回収します。

経費削減も、短期的にキャッシュフローを改善する有効な手段です。特に、交際費、広告宣伝費、旅費交通費などの変動費は、すぐに削減できる可能性があります。また、サブスクリプション型のサービスや保守契約、リース契約なども見直しの対象となります。

仕入れに関しては、仕入先との交渉によって仕入れ値を下げたり、支払いサイトを延ばしたりすることが考えられます。

ファクタリングを検討するタイミング

ファクタリングは、売掛金を第三者に譲渡して早期に現金化する資金調達方法として、日本でも中小企業向けに広く紹介されています。ファクタリングは銀行融資と異なり、基本的に債権譲渡を通じて資金化する仕組みで、返済義務ではなく手数料負担が生じます。

ファクタリングを検討すべきタイミングとしては、売掛金はあるが入金までのサイトが長く資金ショートの可能性が高い場合、銀行融資の審査には時間がかかり今月・来月の支払いが迫っている場合、黒字だが売上の成長に運転資金が追いついていない場合などが挙げられます。

最初の7日間で現状整理・支払い優先順位・経費削減・売掛金回収交渉まで行った上で、それでもなお不足する部分をファクタリングで補うという位置づけが現実的です。

ファクタリング利用時の注意点

ファクタリング会社の選定にあたっては、手数料水準、契約形態、償還請求の有無、債権譲渡登記の要否など、条件面を比較する必要があります。手数料が高すぎると、せっかく資金を調達しても利益を圧迫し、かえって資金繰りを悪化させる可能性があります。

また、契約内容に不明瞭な点がないか、違法な高金利や不当な条件が含まれていないかを確認することも重要です。不安がある場合は、弁護士や税理士などの専門家に契約書を確認してもらうことをおすすめします。

7日後以降に必ず着手したいこと

資金繰りが厳しいときの対処法は、「目の前の資金ショートを防ぐこと」と「同じ状況を繰り返さないこと」の二段構えで考える必要があります。7日間で緊急対応を行った後は、中長期の見直しに取り組むことが重要です。

資金繰り表の継続的な更新

緊急対応が一段落したら、資金繰り表を定期的に更新し、今後数カ月先までのキャッシュフローを予測する習慣をつけることが重要です。資金繰り表は一度作って終わりではなく、毎週または毎月更新し、常に最新の状況を把握できるようにします。

資金繰り表を継続的に更新することで、将来の資金不足を事前に察知し、早めに対策を講じることができます。多くの会計ソフトには資金繰り表の作成機能が搭載されており、入出金データを自動で反映できるため、手作業の負担を減らすことができます。

収益構造の見直しと専門家への相談

短期的な資金繰り対策と並行して、中長期的な収益構造の見直しも必要です。粗利率が低い取引、赤字の事業、非効率な業務プロセスなどを洗い出し、改善策を検討します。

また、金融機関、税理士、中小企業診断士などの専門家と継続的な相談体制を構築しておくことも重要です。定期的に経営状況を報告し、アドバイスを受けることで、問題が深刻化する前に手を打つことができます。

公的支援機関による経営改善支援制度も各地域で用意されており、融資・補助金・経営改善計画の策定などを通じて資金繰りの安定化を図る取り組みが紹介されています。

まとめ

資金繰りの危機に直面したとき、最も重要なのは冷静に現状を把握し、適切な優先順位で対応することです。最初の7日間で手元資金と入出金予定を見える化し、支払いの優先順位を整理し、関係先への相談と短期資金調達を検討します。

高金利業者や税金の無断滞納、粉飾決算などのNG行動は避け、緊急対応後は資金繰り表の更新や収益構造の見直しなど、中長期的な経営改善に取り組むことが重要です。

ABOUT ME
大森真
事業者向けメディアの編集経験が長く、融資・補助金・請求書管理など幅広いテーマを扱う。複雑な制度を一般ユーザー向けに翻訳する記事構成が得意。中小企業の経営者やバックオフィス担当者へのインタビュー経験も多く、現場目線の課題整理を強みとしている。